人は誰でも認められたい!


 
分野:人材育成・人材戦略(人事・労務・起業・研修)
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投稿日:2011/01/31




今、私たちは平成バブルを経験後、国内市場の成熟化に伴い低経済成長時代を迎えています。

次世代の成長戦略が見えないまま色々な閉塞感に捉われている状況にありますが、

一方では、巷にモノが溢れる世界屈指の豊かな国でもあります。



そんな時代に対応したマネジメント手法として広くコーチングが取り入れられてきました。

研修を通じて様々な企業様と出会う中で感じるのは、いまだ良くみられる権力型リーダーシップが

部下の間で齟齬をきたしてきているという実感です。



企業が元気を取り戻していく為には、まず個人が元気を取り戻していくことが必要です。

個人が元気になり職場が活性化していくにはどうすれば良いのか、どんなリーダー、どんな上司像が求められるのか。

それをこのコラム欄を通じて一緒に考えていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。



コーチングではコーチが相談者様(クライアント)と無事にゴールに到達するまで共に伴走します。

その際コーチはいろいろなスキルを活用しますが、私自身が最も重要だと感じているのは「肯定」という思想です。

コーチングでいう「肯定」とは、「目の前の相手の存在を認める」ということです。



「存在」を認めるとは、「あなたがちゃんとそこに居ることを私はわかっていますよ」というメッセージを相手に

言葉や態度、アクションでしっかりと伝えてあげるということです。



なぜ「肯定」が重要なのでしょうか。

それは、人は誰でも「肯定」されることを欲しているからです。



なぜ人は他人から「肯定」されることを欲しているのでしょうか。

それは人類が原始の時代から約600万年という年月を生き延びてきた「知恵」に関わっているからなのです。

私たちの遺伝子DNAにしっかりと刻まれているのです。



人間は原始の時代から人との協力関係を保つことで生きながらえてこられたという事実があります。

私たちの祖先は、どう猛な野獣やマンモスを捕えて食料にしてきましたが、それは決して一人ではできるものではありません。

多くの仲間と助け合い協力することで、どう猛な野獣やマンモスを倒すことができたのです。





従って、もし仲間から無視されたり、仲間に入れてもらえなかったりすることは、即「死」を意味したのです。

祖先はいついかなるときにでも自分が仲間との「輪」の中に入っているかどうかを常に確かめることを迫られていたのです。



現代人は他人と共同して猛獣を倒したりはしませんが、人間の長い歴史レベルで考えると、人類が誕生した約600万年前から、

つい約5千年前まで手に槍を持って皆でマンモスを追いかけていたのです。約599万5千年もの間、生き延びてきた「知恵」が

私たちのDNAには刻まれており、現在でも私たちはそれに突き動かされているのです。





その「知恵」とは、「常に人から自分の存在を認められていること」なのです。

ですから、私たちは誰でも人から自分の「存在」を認めてもらいたい、「肯定」してもらいたいと潜在意識レベルで欲しているのです。



相手を「肯定」するとは、日常の何気ない「挨拶」から「感謝」、「ねぎらい」、「励まし」等、広い範囲の言葉や動作です。

現在のありのままを認めてあげるという気持ちから出てくるすべての言葉と行動といえます。



そんな心で「肯定」された相手は、自分で自分にOKサインを出すことができます。自己肯定することができます。

人は自己肯定できると自信がつき、一歩前へ進む勇気と意欲が出てくるのです。

素晴らしいではありませんか。たった一言の言葉が相手の動く原動力になるのです。





「生きることの喜びは自分の存在が認められ、誰かに必要とされること」と、日本メンタルヘルス協会代表の

衛藤信之氏は、こんな話をしてくれます。



あの阪神淡路大震災の直後、倒壊現場の中で頑張っていたのは暴走族の若者だったそうです。

彼らは被災者の間を懸命に駆け回り、「おばちゃん、これ運んだらええんか?わかった。任しとき!」、

「向こうから何を持ってきたらええの?わかった。任しとき!」と、自分のバイクに次々に荷物を載せて走り回っていたそうです。



後にその元暴走族の青年に尋ねると、「僕はあの震災の中で自分が役に立つこと、人にこんなに喜んでもらえることを知ったんです。

・・・人に喜んでもらえることがあんなに気持ちええんやと気づいたんです」と語ったそうです。





ある不登校の女の子がいたそうです。彼女は学校に行くことができません。

でも彼女は母親を心配させたくないために毎朝登校時間には必ず家を出ます。

ある日、彼女は畑にいたお爺さんに出会いました。



「お姉ちゃん、あんた最近こっちずーっと見ていはるけど暇なら手伝ってくれへんか。」

お爺さんは学校のことも聞きません。その日から彼女はお爺さんと一緒に畑仕事を始めました。

そして彼女は自分で育てたトマトを初めて食べました。



お爺さんが、「お姉ちゃん、こんな美味しいトマトはお爺さんも初めてや。やっぱり一生懸命に世話をすると

こんな美味しいトマトが作れるんやなあ。こんな美味しいトマトを作れるんやから自信を持てるがな。」



その女の子は学校に通えるようになったそうです。

「私、学校では自分は要らん人間と思ってました。・・私なんか必要とされていないと脅えていたんです。

でも、私は人が喜んでくれるトマトを作れるもの、誰かに必要とされる方法を一つ見つけたの。

だからもっと喜んでもらえるトマトを作る為に知識が必要かなと思ったの・・そう思ったら勉強が必要かなって・・」





この例は「肯定」のなかの一つの行為である「感謝」が自己肯定に結びつき、再び自信を取り戻した例と言えるでしょう。


鈴木 誠一郎 (コンサルタント )
営業企画部、地域戦略部、人材開発部を経験する。販売促進部では車種別マーケティングを担当し、設計開発部門と次期型車開発に携わる。 営業企画部では国内営業部門中期経営計画策定業務を担当し、 国内販・・・


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