「聴く」という部下育成(4)


 
分野:コーチング(人事・労務・起業・研修)
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投稿日:2012/04/10



「聴く」ことと「問う」ことは表裏一体とはいえ、間違った問いかけは逆効果になります。

ここでいう「間違い」とは、もちろん部下育成につながらない問いを発してしまうことです。


どんな質問がよいかは実際の状況によるので一概に決めつけることはできません。

しかし基本的な注意点をふまえておくことで、間違いを減らすことはできると思います。


上司が部下に問いかけるとき、あらかじめ上司が自分の答えをもっていることがあります。

たとえば、「何度も説明したのだから、A君に指示したことは夕方までに仕上がるだろう」

と考えている、というように。

そうすると、上司からの質問は、

「・・・の件だけど、夕方までには終わるよな?」

といった、確認調の質問になりやすいのです。


またこのような質問だと、相手は「はい」か「いいえ」で済ませることが可能です。

この「はい」「いいえ」を導く質問を限定質問と呼びます。



上司が部下の答えを予測したり、特定の答えを期待している場合、こうした質問が多くなりがちです。


前述のケースだと、

部下は自分の考えや本当の状況を伝えるのではなく、「上司は夕方までに仕上げることを要求しているのだ」と解釈し、「はい・・・」と答える可能性があります。


明らかに無理な場合は「いや、それが実は・・・・・・」などと返答するのが通常でしょうが、そうすると上司は「しょうがないなあ、それじゃあ明日の昼までには頼むぞ。だいじょうぶだよな?」と、また確認調の限定質問を繰り返したりします。

そして翌日の昼、「なんだ、できると言ったじゃないか!」といったことになるのです。


‟自分にとって都合のよい答えを想定した限定質問”では、部下のほんとうの状況や思いを引き出すことができません。


このとき、「・・・の件だけど、進捗はどんな具合?」と聞けば、いきなり部下から「はい」や「いいえ」は返ってきません。


このような質問を、相手の自由回答を導き出す「拡大質問」と呼びます。

もしもこの質問で思ったほど仕事が進んでいないとわかったら、次もまた拡大質問を使うことができます。

たとえば、「どうすれば、もっとスムーズに進めることができるようになると思う?」といったように。

こうした拡大質問は、部下が課題についてどのくらい自分で考えることができる状態か、何を手助けしてあげる必要があるかなど、マネジメントに必要な状況をつかむことにも役立ちます。


ところが頭では理解しても、上司は経験や役割上、部下より先に答えをもってしまいやすいので、無意識のうちに限定質問が多くなりがちです。

さいしょは少し意識的に‟拡大、拡大・・・・・・”と頭で唱えつつ、今までしていない質問を日常に入れていくことを心がけてください。

一方、限定質問がすべてダメかというと、けっしてそうではありません。

次回は、効果的な限定質問の使い方について取り上げたいと思います。

吉田 典生 (コーチ、ファシリテーター )
よしだ・てんせい 1963年、三重県伊勢市生まれ。 関西大学社会学部卒業後、ビジネス雑誌の編集記者、フリージャーナリストを経て2000年より現職。 職場のコミュニケーションの再構築、改善を通じた・・・


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